作品ストーリー
天照大御神が天の岩屋の戸を開いて中にお隠れになると、高天原(たかまのはら)も地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)も闇に覆われた。永遠の夜の世界の訪れである。悪しき神々はここぞとばかり、夏の初めに群がる蝿(はえ)のように騒々しく世界に満ち、あらゆる禍(わざわい)がいっぺんに発生した。
そこで、八百万(やおよろず)の神々はみな、天の安河(やすのかわ)の河原に集まり、高御産巣日神(たかみむすみのかみ=天地のはじめに高天原に現れた造化三神の一神、別名に高木神)の子である思金神(おもいかねのかみ)に知恵を絞らせた。そして、その打開策をもとに神々がそれぞれの役割を果たし、一致協力して神聖な祭祀を丁重に執り行うことによって、天照大御神を招き出すことに成功したのである。
天照大御神がお出ましになると、高天原も葦原中国も自然に照り輝き、明るい光に包まれた。それにつれて、あらゆる禍も消滅していった。このことを、マークエステルは、「天照大御神が祓い清めた」ととらえた。日の神が現れることで、暗闇の世界で禍を起こしていた悪しき神々は、自然に追い払われたのだから。
尚、『古事記』には、その行為(お祓い)を行われたとは記されていない。
※「祓」とは「はらえ」「はらい」と読み、罪・穢れ・災いを払い除き、清めること、またはその儀式のことをいう。