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マークエステルの想い

日本での芸術文化活動についての経緯と想い

マークエステル オフィシャルサイト マークエステルの想い 筆を持つマークエステル



私は、日本という国に一目惚れしたフランス人画家です。
1970年、大阪万博が開催された年に初来日し、この国の自然や文化、人々の振る舞いや心遣いに非常に魅了されました。以来、今日までこの国で多くの時を過ごすことになり、各界の著名人をはじめ、多数の方々と出会い、国際交流や文化活動を行ってまいりました。

私は日本を訪れ、日本語を学ぼうとして出会った『古事記』を通し、日本神話の存在を知りました。驚きでした。そして深い喜びでした。
日本では、神話に登場する神様たちが今も神社に祭られ、人々はそれぞれの願いを込めて神様にお祈りし、祭りや種々の儀式が生活風習として根づいています。

神道、そして皇室の存在。
この国では古代の神話が、古くから継がれてきた精神文化が現代に息づいています。
このような国は、近代国家の中では唯一の国なのではないでしょうか。
エジプトでもギリシャでもローマでも、神話はすでに過去の遺物、遺跡となっています。
「和を重んじる姿勢」「おもいやり」「おもてなし」「秩序を守る」など、日本人の誇る精神文化の背景には、大自然、森羅万象を大切にしようとする神道の考え方が根底にあるのだと感じます。

私は、神道の考え、これは、日本のみではなく、かつて人類の先祖たちが大切にしていたものであり、現代の人々が置き去りにしてしまったものです。
現代において、世界は、大自然から大きな警告を受けているような気がいたします。
大自然との関わりの中で生きていかざるを得ない人間は、何を大切にすべきなのか。
自然との共生を大切にする神道の自然観や生命観は、世界の諸問題を解決するための心のあり方として、今こそ世界に広めていくべきではないかと思い、私なりの活動をしてまいりました。

そうした中で、日本中を巡って気がついたことがあります。残念ながら、日本神話を知らない日本人、神道とは何か、日本の伝統的精神文化とは何かを明確に答えられる日本人が少なくなっていることです。
また、知っていたとしても積極的に語れない事情を抱えた日本人であることも知りました。

私は、日本の精神文化を広く理解していただくために、日本神話の作品を描き、全国で多くの美術展を継続して開催してまいりました。美術館においては、2008年に上野の森美術館(東京)で、2015年には九州国立博物館(福岡県)で美術展『日本神話 by Marcestel』を開いております。
画集の出版も手がけ、2006年には、日本神話を日本語・フランス語・英語・イタリア語・ドイツ語・ロシア語・スペイン語の7か国語で記し、200点の作品を掲載した『日本神話 by Marcestel』を制作し発表いたしました。

そして、世界平和と幸福を願って、全国の神社を巡拝し、作品を奉納してまいりました。
1996年に伊勢神宮からはじまり、2018年4月の時点で178社となっております。
また、伊勢神宮の大宮司をされていた当時の北白川道久様からのアドバイスがきっかけとなり、子供向けの本の出版もいたしました。11巻で構成した日本神話の本は多くの方々に喜ばれ、読んでいただいております。

作品の映像を使った音楽や舞踏とのコラボレーションイベントにも取り組み、高松、宮崎、福岡、京都、名古屋、東京などで公演が催され、2016年9月には、東京の新国立劇場にてスーパー神話音楽劇「ドラマティック古事記」が開催され、2017年8月には明治神宮でも著名ダンサー達とのコラボレーション企画「古事記」が上演されました。

雑誌「WAGO」には、私の一連の活動内容記事が掲載されております。
この間、私の活動に対し、2007年に神道文化会より「文化奨励賞」を、2014年には、文部科学大臣より「文化関係者文部科学大臣表彰」を賜りましたことは、忘れられない出来事になりました。
私の作品や本を通して、日本神話を知らなった人が知るようになり、関心を持って自分で勉強するようになったという嬉しい知らせも受けております。

芸術家であるからこそ、日本人ではない外国人の私であるからこそ、できることがあり、また注目されることもあるのではないかと思います。
さらに私は、中国神話、韓国神話の作品制作を手がけております。
現在、日本と中国や韓国の間には解決すべきデリケートな問題が横たわっていますが、神話を知れば、古代史を知れば、この三カ国は兄弟のような国であることがわかります。
私は、東アジア三カ国の友好な平和的関係を望んでおります。そのために、芸術分野からの貢献をしたく、三カ国の神話作品を描き、それらを展示発表する機会を持ちたいと希望しております。

私と中国との関係も深まってまいりました。2008年から、100点ほどの神話作品をはじめ、約300点の作品が北京の坦博美術館に常設展示されております。
北京オリンピック開催の際には、各国首脳に贈呈される10人の美術家による記念テレフォンカードの一枚に、外国人として唯一私の作品が採用され、その作品はオリンピック開催期間中、メインスタジアムに展示されました。
2011年には、中国当局より、オリンピック美術のための芸術運営理事会の理事に任命され、翌年のロンドンオリンピックに参加させていただきました。
上海のドルン美術館で開催された、中国神話の作品などを展示した美術展の際には、思いがけない出来事もありました。

天災の試練を受けた時の日本人の姿勢には世界の人々が感銘を受けました。日本を訪れる外国人は増え、経済、技術、文化、自然、歴史など、日本という国に対する注目度は益々高まっています。
日本人自体が自国のことを学ぶ必要性を感じ、最近では神話や神社、歴史への関心も高まっているように見受けられます。

私は、古代の人々が伝え残そうとした大切な教えを、日本に残っている貴重なスピリットを、世界の人々、特に若い人たちに広く伝えられるように貢献したいのです。
日本は私にとって、芸術家マークエステルを生み、温かい愛情で育ててくれた母親のような存在であり、古郷でもあります。初来日のときに「墨絵」と出会い、その墨の「にじみ」が表現する深遠な世界に強く心を動かされたことが契機となって、外交官から芸術家へと人生航路の舵を切ったのです。

私は、その日本に恩返しをしたいと思っております。
数年前からは病とも戦いながら、活動を続けてまいりました。どうぞ、外国人でありながら、日本をこよなく愛し、このような活動を続けている芸術家がいることを知ってくださり、心に留めて頂ければ幸いです。
日本の精神文化は、世界に福音をもたらす可能性を持っていると私は信じております。
日本で芸術文化活動をはじめて約半世紀、私自身その時の流れに驚いているところです。集大成の仕事として、一体何ができるのか、何をするのが良いのか。現在進行中の仕事も含め、私は今、それを考えているところです。

マークエステル・スキャルシャフィキ
本名 マーク・アントワーヌ・スキャルシャフィキ